広本 充恵さん
MITSUE HIROMOTO
- ご所属
- 認定NPO法人キッズドア
- 参加コース
- 子ども初任コース
今回インタビューに応じていただいた広本充恵さんは、東京都内の自治体から外国ルーツの子どもに関する事業を受託するNPO法人キッズドアに所属されています。
子どもの貧困対策に関わる事業を手がける所属法人が、外国にルーツを持つ子どもの日本語学習支援事業を始めることになり、事業立ち上げ期から現在に至るまでその現場で子どもの日本語教育に従事してこられました。
そんな広本さんが、どうしてこの研修に参加をしようと思われたのか、どんな知見を得て、今後にどのように活かしたいと考えていらっしゃるのかをおうかがいしました。
- 困窮世帯の子ども支援NPOが外国ルーツの子ども支援を始めたきっかけ
- 研修に応募したのは、新しい知識を専門職から学びたかったから
- オンデマンド講義は何度も動画を見返せるメリットがある
- 研修で学ぶコースデザインや教授法の知識をNPOの現場に活かしたい
困窮世帯の子ども支援NPOが外国ルーツの子ども支援を始めたきっかけ
困窮世帯の子どもの無料学習支援事業を展開する認定NPO法人キッズドア(以下、「キッズドア」)さんが、外国にルーツをもつ子どもの日本語教育に関する事業も手がけられるようになった経緯を教えていただけますか。
広本2020年8月に入職する際、キッズドアの理事長との面談の場で、「(この団体の中で)何がしたいですか?」と質問されました。そこで、私は「外国ルーツの子どもの学習・居場所支援事業をやりたい」という話をしたら、「それ、やりましょう!」という話になったのです。
広本さんは事業立ち上げから担われていたということですね。
広本そうですね。もともとキッズドアには外国ルーツの子どもは参加していましたが、それに特化した事業は団体として初めての試みです。すぐに助成金の申請をして、2020年10月に自主事業として外国ルーツの子ども支援事業を立ち上げました。その時、ちょうど時期的に区の委託事業のプロポーザルがあったので、その準備にも同時に取り掛かかりました。そして、2021年4月から、区の事業も受託したという経緯です。
すごいスピード感ですね。それから現在に至るまで、事業はどのように成長してきましたか?
広本2020年10月の教室スタート時点では、生徒数は8人くらいでした。そこから区の委託事業を受けて2021年4月に20人ほどになり、2022年10月現在では約30人となっています。また、職員は私を含めて最初は2人でしたが、現在は非常勤職員も含めて11人います。
研修に応募したのは、新しい知識を専門職から学びたかったから
事業が順調に成長する中、なぜこの研修に参加しようと思われたのですか?
広本私自身、10数年前に携わって以来しばらく日本語教育自体から遠ざかっていたので、教材なども変わっているでしょうし、新しい知識を得てこの事業に活かしたいと思ったからです。区の事業を受託するということは、公的事業を行うということなので、ちゃんと行いたいと考えました。
その頃からDLAを少しアレンジしたアセスメントをやって、個別支援計画を作り、一人ひとりのニーズに合わせた個別指導の体制づくりをするということを始めました。
ただ、課題が見つかった時にどうすればいいか独学では分からないので、きちんとした専門職の先生から学びたいと考えるようになりました。そこで、専門職の先生がたから体系的な知識を学べるこの研修を知って魅力を感じ、応募しました。
実際に受講し始めてみて、いかがですか?
広本先日、さっそく先生から共有された動画教材を現場で使い始めましたよ。一緒にこの研修に参加している同僚と「この動画はあの子にちょうどいいね。すぐ使おう!」と話して、翌日には現場で使い始めました。この研修を既に有効活用できていると感じています。
オンデマンド講義は何度も動画を見返せるメリットがある
研修はオンラインで進められていますが、どう感じますか?
広本オンデマンド講義は、研修課題をするときに見直せるので、とても良いと思います。1回目の動画講義視聴では新しい知識をインプットする、2回目には研修課題をアウトプットする際にもう一度見直す、というように活用できるところが便利ですね。
講義を1回聞くだけで知識を断片的に入れても現場では活用しづらいですが、2回聞けるということで自分の経験と交差させながら考えを深められると感じています。
また、講義を受ける時間帯が限定されないため、仕事と両立させながら受講できるので効率的で助かっています。ただ、私を含め皆さんが仕事の都合がつくのであれば、毎回でなくても、交流も兼ねて対面の場があっても良いかなとも思いますね。
Slack(コミュニケーションアプリ)の活用については、いかがですか?
広本Slackのチャンネル(掲示板)上でやり取りされる他の人の質問がちょうど自分も聞きたいことだった、という場合もあるので、そういったやりとりが共有されるのがありがたいです。
それから、Slackはスマホから見られるから良いですね。Googleドライブなどだとパソコンを開くひと手間もかかるので。
研修で学ぶコースデザインや教授法の知識をNPOの現場に活かしたい
この研修を今のお仕事で、あるいは将来のご活動で、どのように活かしたいとお考えでしょうか?
広本キッズドアの外国にルーツをもつ子どもの事業は、ゼロから築いてきたものなので、基盤を作っていくうえで、自分が作ってきた基盤が正しかったか確認をして、より良い事業にするための改善に活かしたいと思っています。
研修内容としてはかなり網羅的に多様な事項が扱われていますが、特にどのパートに興味をお持ちですか?
広本言語習得に関するところ、具体的には第4クール「外国人児童生徒の言語習得と認知発達」、第5クール「外国人児童生徒等の日本語教育のコースデザイン」あたりですね。コースデザインや教授法を知って、良いものを取り入れて改善につなげていきたいと思います。
今年度、運良くキッズドアの同僚スタッフが一緒に受講させていただいているので、学んだことについて共通認識をもちつつ、スムーズに合意を得て現場に活用していくことができると思います。
研修を終えられた後に、実際どのように現場に活かされているのか、ぜひお聞きしてみたいと思います。
広本はい。でも実はもう既に現場に取り入れていて、先ほどもお話したように、動画教材の情報を得たら「これを使おう!」と翌日からでも使い始めるようなことができています。NPOの現場は柔軟に対応ができるので、それが強みですね。改善しなければならないことは、すぐ改善しています。
最後に、本研修の受講を検討している方に向けて、メッセージがあればお願いします。
広本外国にルーツをもつ子どもに関わる仕事をする方全員に参加してほしいと思っています。参加者の要件に日本語教師有資格者というものはありますが、可能なら日本語教育を知っている人だけでなくても参加できるものになると良いなと思います。小学校の先生も少しは既に参加されていますが、そういった方々も現場に活かせる研修内容だと思うので。もしそのようになったら、遠慮せずに色んな人に受講してもらいたいですね。