笹間 佐和子さん
SAWAKO SASAMA
- ご所属
- 今治市国際交流協会
- 参加コース
- 子ども初任コース
今回インタビューに応じていただいた笹間さんは、愛媛県の今治市国際交流協会に所属されています。協会は地域におけるボランティア養成講座や指導員の紹介などの活動を展開していますが、地域日本語支援や指導員の紹介に携わってきた笹間さんがどうしてこの研修に参加をしようと思われたのか、どんな知見を得て、今後にどのように活かしたいと考えていらっしゃるのかをおうかがいしました。
- 自身の海外在住経験と語学力を活かして国際交流の仕事に
- 「厚みのある学び」をめざして
- 仲間と語り、仲間と振り返り、仲間と成長する
- 柔軟に学べることで意欲も効率もアップ
- 子どもや保護者のみならず、学校現場や支援員も支えられる存在に
自身の海外在住経験と語学力を活かして国際交流の仕事に
ご所属の国際交流協会では普段どのような活動をされていますか。
笹間今治市の国際交流協会は市の外郭団体としてあるんですけれども、予算面でも人員面でも決して大きな組織とはいえません。全部で三人の職員がいまして、そのなかで私を含めて二人が主に現場に関わる部分を担当しています。今のところ、「日本語」の担当は先輩職員のほうなんです。ただ、先輩職員は主に英語の担当で、私が中国語の担当なので、先輩職員のほうが受けた支援員紹介の依頼でも中国語関連の方を探したり、自分の個人的な繋がりで紹介できそうな方もいたりするので、一応メインの担当はありますけど、二人で協力して担当しているという感じが強いです。
地域での支援員の養成はいかがですか。多くの方々がボランティアとして関わってくださっているのでしょうか。
笹間日本語支援ボランティア養成講座をやっていまして、始めてもう10年以上経っていますね。なので、初期のボランティアさんのなかでは資格を取得された方もいて、資格は取得されていなくてもキャリアを積まれて、企業において有償で教えていらっしゃる方もいらっしゃいます。そういったボランティアの情報と、あと、やはり国際交流協会として性格上、外国語にご堪能な方々の情報も多く存じ上げているので、日本語支援のための支援員と、主に通訳としての役割が期待されている方などを市の教育委員会にご紹介しています。
多くの方々を橋渡ししていくような大事な役割ですよね。笹間さんは中国語をご担当されているということですが、いつから学んでこられたんですか。
笹間中国に留学していました。大学を卒業してから中国語を学びに北京に2年間行きまして、その後はしばらく中国で働いていました。私自身が外国人として海外で暮らした経験があったので、帰国後も地域での国際交流に関心をもって関わっていました。その後、今の仕事に入職したのですが、自分も外国で学んで、仕事をしていた経験があるという意味では、自分の経験も、こちらで生活されている外国籍の方々を理解する際に少し役立っているように思います。
「厚みのある学び」をめざして
今治市にいる外国ルーツの子どもたちの母語背景はどんな感じでしょうか。
笹間やはり一番多いのは中国なんですけれども、あとは特にどこがというのはなくて、本当にいろいろですね。というのも、とくに最近、両方とも外国人であるカップルがこちらで結婚して出産するというケースが増えているような印象があります。
すると、国際交流協会の役割もますます大事になりますね。では、お仕事もお忙しいなかで、今回の研修にどういった理由で参加しようと思われましたか。
笹間日本語教育に関しては、中学校でのボランティア経験はありますが、当時は知識も経験もなく、十分な支援ができていなかったと思います。今でも心残りです・・・。現在は、市の国際交流協会に入職して、日本語教師の資格も得ました。ただ、資格を取得したといっても、独学で検定試験を受けただけなので、中身としては十分とは思えませんでした。特に子どもに対することは、本で読んだことが全てですね。私の所属する協会は、市の教育委員会に支援員を紹介しているんですが、子どもたちや支援員に対して十分なサポートを行うことはまだまだ非常に困難だと実感していました。これから子どもの支援にも力を入れていかなくてはという時に、今の私の状況では大変心もとない。でも、この研修では、受講生のみなさんは、既にある程度の経験をもっている方がほとんどじゃないかなと思うんですけど、その方たちの経験談を聞きながら、もう一度知識としても学ぶということで、もっと厚みのある学びになるんじゃないかと思いました。
仲間と語り、仲間と振り返り、仲間と成長する
そうですよね。同じ目的意識をもつ仲間たちと一緒に交流しながら専門的に学べるという意味では貴重な機会になりますね。すでに研修が始まっていますけど、参加されてみて予想通りでしたか。いかがですか。
笹間本当に貴重な時間です。毎回、時間が短くて、短くて。話が少しグループワークのタスクから脱線してしまうこともあったりしますけど、それがただの無駄ではなくて、そこからも得られることや気づくことがたくさんあります。みなさん、とても興味深い内容をいろいろお話してくださるので。
これまでグループで話した内容のなかで、何か印象に残っている部分やエピソードなどありますか。
笹間2回目の研修がつい先日でして、「異文化適応」に関するディスカッション課題がありました。その内容の一つが、ペルー人生徒がピアスをつけて学校に来たらどう対応するか、というものだったんですけど、私と同じグループの一人が、どうして「ペルー人」という設定にしているのか、と発言をされたんです。最初は、そこまで気にしなくてもよいかも、と思ったりもしましたが、グループで話をしているうちに、そういうちょっとした疑問や気づきが実は大事だなーと、自分でも思えるようになりました。単に知識を学ぶとかの次元ではなく、どういう感覚や感性をもって日ごろの現場に携わっていくのか、という意味で気づきや学びが得られたので、とても印象に残っています。こういった学びはなかなか一人ではできませんし、書物を読んだだけでも得られませんから、とても貴重だなーと思いました。
なるほど。そういった姿勢や態度のようなものは書物などで学んでわかるようなことではないので、こういった気づきは本当に貴重ですね。
笹間そうです、そうです。本当に勉強になっています。あと、振り返りシートを書いている時に思い出すと、あ!そうか!と、思えることが毎回ありまして。振り返りシートに記入する時間がなかったら、ここまでたくさんの気づきを得ることもなかったと思います。最初は、だいぶ手間がかかりそうだなーと思ったことも事実ですが(笑)、気がつくと何時間もかけて書いたり、自分で修正したりしながら書いています。あと、それぞれの問題意識を直接話し合える時間はやはり限られているので、その分、振り返りシートを使って共有することもできました。
グループワークや振り返りシートを書くことの他にはいかがでしょうか。これから講義を通して身につけたい知見や、参考にしたいと考えていることはありますか。
笹間私の場合、日本語教育について学び始めてからこれまで、実際に支援してきたのは大人だけです。日本語教師として児童生徒への支援経験はゼロですので、今回の講義内容全てが私にとって必要な知識だろうと思います。なかでも、すでに経験がおありの皆さんが特に必要だと感じられた知識や情報は何か、という点はとても参考になると思います。
他の参加者の皆さんがこれまでの経験から、どういった情報や知識に注目されているのかとか、今後こういうふうに使ってみたいとか、そういう意見を聞くことが私にとってはすごく重要で、役に立つと思います。
柔軟に学べることで意欲も効率もアップ
研修がオンラインで進められること(オンデマンド講義・オンラインスクーリング・Slackを用いた情報交換など)について感じていること、期待することは何ですか?
笹間もし毎回決まった時間、決まった場所に対面で集まって講義とスクーリングを実施するというスタイルだったら、私はこの研修に参加するのが無理な状況でした。ですので、オンライン開催はありがたかったです。
動画学習のほうでは、自分でコマ切れにしてリピートしながら学べたのでよかったです。気になったところをもう一度確認できますからね。スケジュールもそうですけど、体調によっても調整できたので、すごく助かりました。
あと、Slackを使うのは今回が初めてなんですけど、これから可能な限り活用してみたいと思っています。対面での情報交換の場合、席順などで決まって広がりにくいところがありますが、オンラインであれば全員が気軽にアプローチできるように思います。
オンラインスクーリングももう始まっていますよね。参加されてみて、どうでしたか。
笹間そうですね、はじまっていますね。ライブでみんなでつないで、小人数だからこそ「これはちょっとオフレコでお願いしますね」といった話もあったりしますし、グループで分かれてやることの意味もあるように感じています。大人数でやると発言を控える人もいると思うんですけど、少人数の場合はオンラインでも「顔の見える関係」になるので、互いの興味とかも少しずつ分かるようになったり、他の参加者の反応も確認しながら話せたりするので、もっと自由に、安心して話せる雰囲気にはなりますね。大人数がよい場合と小人数がよい場合があるので、それぞれの良さを生かしたいですね。
子どもや保護者のみならず、学校現場や支援員も支えられる存在に
最後に、ご自身の教育活動・支援活動などで研修を今後どのように活かしたいか、今後の抱負について教えてください。
笹間もともとが、今回研修を受けて、自分でも可能な限り学校現場や課外活動で直接支援する機会をいただいて、そこから市の教育委員会や学校と連携して、支援体制の強化にも取り組みたいと考えて応募したんです。これはぜひやりたいですね。
あと、私たちの支援活動が子どもたちの人生を左右してしまうかもしれないと思っています。必要な知識があれば、自分の活動内容ももっと客観的に見直すこともできると思いますし、より良い支援につながるのではないかと考えています。
まずは支援する当事者としてしっかり活動して、国際交流協会の職員としてできることも探していく予定です。子どもはもちろん、保護者も学校も支援員自身もなんらかの支援が必要なときはあるはずなので、ゆくゆくは児童生徒に関わる全ての人や機関が協力して支援できる仕組みがあるといいなと思っています。そのためにも、もっと経験や実績を積んでいき、将来的にそのような取り組みのお手伝いができればと願っています。
本日は貴重な数々のお話をたいへんにありがとうございました!
研修の大成功と今後のさらなるご活躍を祈っております。